蓼食う虫-38

胃が痛くなるほど食べる季節
 
季節の出会い頭
 
 曼珠沙華という花が有ります、彼岸花とも言いますが 独特の紅い花は小さい頃に縁起の悪い花だから近寄ってはいけないと教えられましたが この花は救荒植物として人間によって広められたと言います。
 今では広葉樹林を駆逐して自然環境を破壊し、場合によっては地域そのものをも飲み込む勢いで広がり 手に負えない植物と知られる孟宗竹も 人の食い気のなせる技で広まったものです。
 
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真竹 真竹の瓶詰め        孟宗 田舎風若竹煮
 
孟宗竹
 孟宗竹は大きくて食べ応えがあるのは良いのですがアクが強いのが難点で しっかりアクを抜くと味がなくなり味を残そうとすればエグ味が口に残ってしまいます、田舎では油を加えて味噌味や醤油味で調理するのが一般的ですが 山椒味噌和えや 先端の絹皮部分だけをしっかりしたダシで炊いた含め煮などは贅沢な一品です。
 もっとも田舎では食べきれないので 絹皮だけを採って残りは捨てるという 産地の特権もあります。
 
 
 田舎風若竹煮
  ・ 塩蔵ワカメをしっかり水で戻して小さく刻み 醤油・みりん・昆布だし・油で薄
   味を付け ひたひたの水で40分くらい煮て一度冷まし 水を加えてさらに30
   分以上煮込み 煮汁が無くなり ワカメが糊状に溶けて 筍にまとわりつけば 
   完成。
    手抜きは よく戻したワカメをミキサーにかけてから加えます。
   溶けたワカメが旨みの固まりになり 筍の食感と合い混ぜて 最高の一品です。
 
 筍と辛子高菜炒め
  ・ 市販の刻んだ辛子高菜と筍を炒め ごま油で風味を付ける。
   ご飯のお供の他に チャーハン、お茶漬け、中華風など 工夫次第で何でもあり
 
ハチク・真竹
 どちらもアクが少なく直ちに調理できますが 真竹の方が香や味が良く 筍の王様といえます、太さは生育している環境によってずいぶん違いますが 個人的には小振りなものの方が料理に映えるので好みです。
 適当な大きさのもをグリルで焼いてそのまま提供すれば 話の弾む一品になりますし スライスしたものは味噌汁、サラダ、麻婆豆腐 等 何にでも相性が良いので 瓶詰めにして常備することをオススメします。
ただし 常温で一年間保存出来ますが 味と香りは約3ヶ月しか持続しません。
  
 蕎麦と海苔は 香り・味 ともに引き立て合って こんな相性を発見した奴はとんと偉いものだと常々思っていましたが、筍とワカメ・木の芽について季節がお膳立てした出会い頭というのも妙味が合って良いものです。
 孟宗・ハチク・真竹と 約2ヶ月間の閒に次々と出てくるので この季節には毎週せっせと瓶詰め作りに励み 保存したワカメと筍の瓶詰めを眺めて 「さーて どんな料理にしてやろうかな 」などと考えて ウキウキしている奴を 一人知っています。    
 田舎では筍の生える時期には 「ここんとこ筍ばかりで 胃が痛くなってしまって・・・・」なんてのが 時候の挨拶になるくらいですが この時期には他の山菜も爆発的に成長するので 幸せなことに食卓は野菜ばかりで 健康この上なし と 
        喜ぶべきか・・・・・・・ 肉が食いたいと叫ぶべきか。