蓼食う虫-100

構えるもヨシ 構えぬもヨシ
 
現代喫茶考
 
 お茶は平安時代には日本に入っていたのですが 本格的な導入は 鎌倉時代に知識優先の僧風を 禅を基として改革しようとしながら 自らは密教碩学であった栄西の登場まで待たなければなりませんでした。
 当時の茶は抹茶で 中国伝来の茶臼を使用した特権階級の飲み物でしかありませんでしたが 次第に禅院に於ける飲食の儀礼をもとに作法が定着し 武家階級に広く普及すると伴に 戦国時代末には かの大天才信長により 会席することの名誉や 茶道具の格式化等の新たな価値観を付与されましたが、 後を継いだ秀吉には 独自のビジョンも無く 大阪城朝鮮出兵など 信長の計画のうち 聞き及んでいたものを少しかじっただけで 統治機構を含めて 新しい日本を作り上げるだけの見識が無かったため 秀吉をあざ笑った利休の気概が しゃくにさわった模様です。
 
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        煎茶手前                抹茶手前
 
煎茶
 粉茶を小型のミキサーにかけ 少量をポットに入れ お湯を注ぐだけ。
 
抹茶
 玉露をミキサーにかけ(玉露の粉茶でもよい) 専用の抹茶ミルで30~40回 
 
 煎茶は 江戸時代中期に製茶法に革命がもたらされたことにより 抹茶より手軽に味合うことができるようになり 明治になると 煎茶道として爆発的に普及しました、 煎茶の美味しさは また格別なものがありますが お茶がらの処理がめんどくさいので 25年前の単身赴任時に工夫し 以後愛飲しています。
 ミルで砕いた粉茶を ほんの少量を湯飲みに入れ お湯を注ぐだけ (冷めないようにポットを使用しています)、 呑みきるときに少し揺すって 粉になった茶葉を一緒にいただきます。
 抹茶は学生時代に 茶道を少しかじった頃 抹茶には味の素が入っているんだとの話を聞いて ちょっとがっかりしていましたが 抹茶用ミルを使うこの方法だと 好きな時に 好きなだけ楽しむことができますし ポットでシェイクすれば茶筅はいりません。 
 
 現代の煎茶は流派による囲い込みや 茶器の銘、免許の販売など 楽をして金儲けをするための道具として重宝され、中でも茶碗は ”一楽・二萩・三唐津” などと言いながら 楽焼きなんぞは 作った人間が誰であるかが判らないと価値が無いようなていたらく、 つまり 焼き物としてはなんの価値も見いだせないもの。
 何事も 様式美が備わって 初めて定着するものですが わざと付け足した「ワビ・サビ」 では無くて 「気まま・我が儘」の現代喫茶道をどうぞ。
    残念ながら  此処には 文化も伝統もありませんぞ
           ・・・・・・・・ ただ  茶を呑むのみ。