蓼食う虫-72


知らないは不味い


野生の旨さ

 約30年前のある日 ”くさやの干物”をいただいたことがあり 我が家に帰って 「すごい美味しいものが手に入ったから夕食にしようや(ウキウキ)。」てな調子で魚焼きグリルで焼き始めたら 生まれて初めて匂いをかいだカミさんは 「こんなものを家の中で焼くなんて非常識も甚だしい 第一近所迷惑なのがわからんのかい」とばかり大変な剣幕で 部屋は追い出され マンションの窓と扉は全部解放されるわで さんざんな目に合ったことが有ります。
  しばらくして季節も良しとばかりに ロープを車に積んで山に行き 先輩が経営するブラジルの牧場で覚えたラッツォ(投げ縄)の要領でさんざん苦労しながら 直径3センチばかりの見事なタラの芽を採って帰り、 「今日はこの前よりもっと良いものを採ってきたんで 天ぷらにして喰おうや、 旨いぞ~(エッヘン)」なんて行ったら 「これは何? 何処で採ったのよ?(疑惑の固まり)」、
 何せ あの頃はここらでタラと言えば 節分に鰯の頭を挟んで庭先に刺しておき 鬼よけにするトゲトゲの木 程度の認識しかない頃でしたから こんな 訳のわからんものを喰うなんて とか何とか言われて ゴミ箱に ・ ・ ・ ・ 確かに多少トゲは合ったのですが。

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タラの芽

 天麩羅
        この季節には丁度 野藤が咲き始めており 彩りも良いので合わせていただきます
     芽が開いて大きくなったのは 天麩羅にしておき 一口大に切って 親子丼の要領で
     卵とじにすると最高です (本日は せっかくですから きれいな写真だけに。)

 ピカタ
  静岡では”卵とじ”と言っていましたが フライパンで炒めて卵を懸け回すだけ 出
 来上がりはピカタです
       天麩羅のように油の嫌いな方は ラップしないでレンジで軽くチンした後やると良
   いでしょう。

  最近は養殖のタラの芽が出回っていますが あれは香りも味も野生にはかないません、お店に出ている親指大のものが美味しいと思っている人が多いので 本当に美味しくなる前に採る人がいるのは残念です。
 よく食べる地方では 小さいのはもったいないとさえ言われるんですよ、あのほろ苦さが少し残る味は 火の通し加減を間違えると損なわれますので注意しましょう。
 さて くさやの干物
あれから ずいぶん後のことですが 残業の合間の話の種に 職場の湯沸かし室で焼こうとしたら 回りからこのビルはセントラルだから止めた方が良いと言われ、新築の家に持って帰ることもならず、淡路島の行きつけの店に持ち込んで焼いてもらったらしく その後3日ほど店を閉めたと言う話を聞きましたが     こちらにJターンする際にお世話になった方がその話の本人と知ったのは最後の飲み会の時でした。
            あれって
             私には普通に美味しい魚の干物を焼いている匂いしかしないのですが・・・